Risk Reduction Marketing Model
「うちはマーケが弱い」
——それは誤診だ。
製造業BtoBでマーケティングが機能しにくいのは、
担当者の能力でも予算でもない。
構造的に"マーケが効きにくい条件"が重なりすぎているから、だ。
25年のマーケティング実務と2年の研究が辿り着いた、
製造業BtoBマーケティングの解体と再設計。
84%
BtoBの購買担当者は、最初のコンタクト前にすでに候補ベンダーを絞り込んでいる
6sense Research
57%
購買プロセスの半数以上が、営業が関与する前に単独で進んでいる
CEB / Gartner
6.8人
BtoBの一件の購買決定に平均で関与するステークホルダーの数
Gartner, 2023
The Problem
なぜ製造業BtoBでマーケティングが
「効かない」のか
ウェビナーをやっても、来るのは学生か競合ばかり
ホワイトペーパーを作ったが、商談にならない
THE MODELを参考にしたが、うちの業態には合わなかった
そして決まって「うちはマーケが弱い」という結論になる。
でも、それは違う——問題は能力でも予算でもなく、構造だ。
でも、それは違う——問題は能力でも予算でもなく、構造だ。
1
製品が「仕様」だけではなく「案件」で売れる
標準品に見えても、実態は個別要件・個別見積もり・個別立上げになりがち。「パッケージ×訴求×チャネル最適化」というマーケの王道が、そのままでは使えない。
2
意思決定の主語が「ビジネス判断」だけではなく「技術妥当性とリスク」になる
現場・生産技術・保全・IT・調達・経理……と多層のステークホルダーが関与し、意思決定の中心は「導入して失敗しないか」というリスク評価だ。
3
失敗コストが大きく、意思決定が保守的になりやすい
ライン停止の損失は業種や工場規模で異なるが、いずれにせよ導入失敗のコストは重い。この重さが「前例・紹介・長期的な取引実績」を優先させる。初めて見るWebサイトのCTAボタンを押すハードルは、SaaSの比ではない。
4
販売が多段チャネル構造になりやすい
専門商社・代理店・SIer・工事会社——メーカーとエンドユーザーの間に複数の中間プレイヤーが入ると、エンドユーザーの声が届かず、リードがどこで消えたかも追えなくなる。
5
「売れる理由」が暗黙知で、コンテンツ化されていない
勝ちパターンはベテラン営業の脳内か技術者の経験則に埋まっていて、言語化されていない。だからWebに出しても「伝わらない」。
6
データが分断されて、何が効いているか見えない
CRM/SFAが営業台帳止まりで、製品別・業界別の勝率が見えない。失注理由は「価格」「他社」しか残らない。改善の根拠が持てない。
7
価値が「製品性能」単独ではなく「導入・運用・保守まで含めた総合力」で評価される
買い手が本当に評価しているのは「この会社に頼めば、ちゃんと動き続けるか」という安心感。製品カタログで訴求しても、導入・運用・保全の不安は解消されない。
8
価格が見えず、比較軸が作りにくい
見積もり文化で透明性が低く、買い手は自分で比較軸を作れない。最終的な判断は「人・関係・前例」に依存する。
少なくとも高額・高リスク案件では、
買い手は価値最大化以上にリスク最小化で動きやすい。
The Framework
だから「リスクを除去すること」が
マーケの本質になる
少なくとも高額・高リスク案件では、
製造業BtoBのマーケティングは、
「需要を創り出す」だけではなく、
「購買を阻害しているリスクを減らす」
ことを本質に含むべきだ。
マーケターの仕事は「欲しいと思わせること」ではなく、「不安を解消し、次のステップに進む根拠を渡すこと」だ。
この発想の転換をフレームワーク化したものが Risk Reduction Marketing Model(RRM)。購買プロセスを2つのフェーズに分け、それぞれでやるべきことを明確にする。
DC-RR 二段階モデル
Phase IDemand Creation Arc
問題認識→情報探索→候補の絞り込み
やること:知られること、候補に入ること
↓
Phase IIRisk Reduction Arc
技術検証→社内根回し→稟議・意思決定
やること:怖さを取り除くこと、合意を形成すること
Series
RRMを体系的に学ぶ
全7回シリーズ
各回はnoteで順次公開。第1回から読み進めると、リスク低減マーケティングの全体像が見えてくる。
| 回 | テーマ | 内容 | |
|---|---|---|---|
1 | なぜ既存理論は 製造業で使えないのか | THE MODEL・Gartnerモデルの前提を解体する。双方向の能力空洞化——商社モデルが売り手・買い手双方の能力を同時に委縮させた日本固有の構造。 | 近日公開 |
2 | ファネルの外側で、 すでに勝負は決まっている | 購買者の84%はベンダー接触前に候補を絞り込む。Consideration Setという競争の本当の戦場と製造業特有の3トリガー。 | 近日公開 |
3 | Buying Consensus—— 日本型BtoBの意思決定構造 | 欧米のBuying Groupと、日本企業の「全員がNoと言わない状態」で進む稟議制度の本質的な違い。根回しの理論化と合意形成設計。 | 近日公開 |
4 | 不安カタログ——7×7で 「誰が何を怖れているか」を可視化する | 7ステークホルダー × 7リスク種別のマトリクスで「コンテンツの穴」を可視化する。Risk Catalog Matrixの実践的な使い方。 | 近日公開 |
5 | R6——「失敗の責任を 取らされる恐怖」が全てを止める | 製品性能と無関係に発生する根本因子・社会的評価リスク(R6)。損失回避・CYA連鎖が稟議を凍らせるメカニズムとR6解消設計。 | 近日公開 |
6 | リスク閾値と仕様書—— 「動く瞬間」を設計し、競合を排除する | 止まっていた案件が突然動く3トリガーとリスク許容閾値のコントロール設計。競争が始まる「前」に仕様書に型番を埋めるSpec-inの実践。 | 近日公開 |
7 | DXとチャネル最適化—— 商社モデルを再設計する | 150年かけて合理的に構築された外部化構造の制度的帰結としてのDX遅れ。商社を「排除」でなく「再設計」するRRMチャネル論。 | 近日公開 |
