日本のDXは、なぜ150年前に決まった?
RRM連載完結。Spec inも出来レースも、根は明治維新にあった——「商社モデルの罠」の正体と、全6回で渡した6つの道具を1枚にまとめてお届けします。
こんにちは、BtoBマーケティング研究所の伊藤宏隆です。
4月に始めたRRM(リスク低減マーケティング)連載が、第6回をもって完結しました。今号はその総まとめ号です。
まず、件名の問いから。
「日本企業はなぜDXが遅れているのか?」
「DXの研修も増え、予算もつき、担当者も真剣に取り組んでいるのに、なぜ進まないのか?」
最終回の答えは、こうです。それは意識の問題ではなく、150年かけて最適化された構造の帰結である——。
⭐ 今月の必読:最終回「150年かけて最適化された『商社モデルの罠』」
(公開:8月3日/第5回の「出来レース」の根を掘りに行く続編です)
明治維新直後、市場の知識も信用の仕組みもなかった製造業者にとって、「市場接点は商社に任せる」は完全に合理的な選択でした。しかしこの「合理的な外部化」が、150年かけて「制度的な依存」に変化します。
段階1:合理的な外部化(明治〜高度成長期)
段階2:外部化の「制度化」(高度成長〜バブル期)
段階3:能力の「委縮」(1980〜2000年代)
段階4:変革の「不可能化」(DX時代・2010年代〜)
そして1960年代、同じ歴史がSIerで繰り返されました。この2つの外部化が重なった企業が、いま最も深刻なDXの壁に直面しています。
重要なのは、商社は敵ではないこと。商社は「もし失敗したら自分がどう見られるか」という恐れ(R6:社会的評価リスク)をまるごと引き受けてくれる——これは本物の価値です。今日の安全装置が、明日の変革を困難にする——この「二重性の罠」こそが、「商社を切れ」という単純な処方箋が機能しない理由です。
▼ 続きを読む(note・最終回 / 今月の必読)
📖 「合理的な罠」の4段階/二重性の罠/「商社を切れ」が答えにならない理由/DXに成功した企業の共通点
👉 https://note.com/btobmarketing/n/nab8898bb9764?utm_source=newsletter&utm_campaign=no16
(読了目安:約14分)
全6回を貫いた、たった一つの命題
連載を通じてお伝えしたかったのは、この一文に尽きます。
製造業BtoBの購買は「一番良い製品を選ぶゲーム」ではなく、「担当者が最も安全に決裁を通せる選択肢を選ぶゲーム」である。
だから売り手の仕事は「売り込む」ことではなく、買い手が社内で稟議を通す困難を共に解くこと(価値共創)。これがRRMの設計思想です。
📋 メルマガ独自付録:RRM全6回の「道具箱」1枚まとめ
各回を、明日の商談で使う道具に変換しました。ブックマーク推奨です。
[序文]8つの構造的理由 → 自社の症状診断に
マーケが機能しない理由のうち、自社に当てはまるものに丸を付けることから。
https://note.com/btobmarketing/n/n9fa5cfd84e2a
[第1回]理論の限界 → 「ファネルで説明できない案件」の言語化に
https://note.com/btobmarketing/n/na7bf859bbb75
[第2回]Buying Consensus → 拒否権マップ作りに
案件ごとに「首を横に振れる人」を全員書き出す。
https://note.com/btobmarketing/n/nd5b09ac06f28
[第3回]不安カタログ → 買い手と一緒に書く共創診断に
R1〜R6の空欄を、Championとの対話で埋める。
https://note.com/btobmarketing/n/naccefd329f17
[第4回]4つのトリガー → 停滞案件の再起動設計に
外部イベント/社会的証明/累積説得/参照点シフトのどれが打てるか。
https://note.com/btobmarketing/n/n897c7fc4c2c9
[第5回+第6回]稟議書作成支援キット+外部化度チェック → 直販の武器に
選定根拠テンプレ・TCO試算・競合比較を自社で用意する。そして「最終顧客データを誰が持っているか」を棚卸しする。
https://note.com/btobmarketing/n/nb0c10c90c753 / https://note.com/btobmarketing/n/nab8898bb9764
🔬 次の研究へ:ヒアリング協力者を募集します
RRM研究は、仮説構築(Phase 1〜2)からケーススタディ(実企業への当てはめ)へ進みます。
「うちの案件でこの枠組みを試してみたい」「不安カタログを自社商材で作ってみたい」という方は、このメールに返信してください。守秘を前提に、30分のオンラインヒアリングという形で一緒に検証させていただきます(もちろん無償です。研究成果は匿名化してフィードバックします)。
次号予告(No.17 / 2026年9月1日 AM 8:00 発行予定)
RRM連載キュレーションは今号で完結。次号からは、note連載「はじめてのBtoBマーケティング」後半戦の再開告知と、2026年下半期のBtoBマーケ注目トピック(人型ロボット・AEO等)をお届けする予定です。
それでは、また来月。
BtoBマーケティング研究所
代表 伊藤宏隆
https://hiropon.org
バックナンバー:https://hiropon.org/newsletter
note連載トップ:https://note.com/btobmarketing/all?utm_source=newsletter&utm_campaign=no16
